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磐田文化財だより 第66号

今年の掛塚まつりで初披露

天幕が130年ぶりの輝きを取り戻す本町屋台

写真:修繕前の本町屋台の天幕 (写真は修繕前の天幕)

10月は、市内各地で祭典が行われます。
8台の屋台が市の民俗文化財に指定されている「掛塚まつり」は、10月16日(土)、17日(日)の2日間にわたって、貴船神社(掛塚)を中心として行われますが、今年の見どころを、文化財の視点からご紹介します。

見どころ・その1…修繕の済んだ本町屋台の天幕

写真:修繕前の掛塚本町天幕の籠部分修繕前の掛塚本町天幕の籠部分
(昭和61年撮影)

本町屋台の天幕(屋台の周囲を飾る刺繍等で彩られた幕)は、明治13年(1880)の製作で、東京日本橋の白木屋から買ったという代物で、はるばる東京まで、荷車を曳いて天幕を受け取りに行ったと言われています。白木屋といえば、当時は東京でも越後屋(後の三越)や大丸屋(後の大丸)と並ぶ代表的な呉服店です。ちなみに、明治初期に製作された中町と蟹町の天幕は越後屋に、大当町の天幕は大丸屋に注文しています。白木屋への注文に当たって、屋台の建築に関わった大工棟梁・小栗岩重らの進言もあったようです。

今回修繕された天幕の長さは9メートルあり屋台の四方をまるまる囲ってしまう長さです。しかし、屋台に天幕を取り付ける際は、屋台の後ろ部分に見送り幕という別の幕が付けられるため、その分は、屋台の内側へ折り曲げて長さを調節し付けられます。

天幕の図柄の題材は「源頼朝の放生会(ほうじょうえ)」とされ、26羽の鶴が描かれています。磐田市の鶴ケ池に伝わる話に題材を得たとも、由比ヶ浜(鎌倉)の話だとも言われています。 籠から放たれた鶴の足首には、金銀の短冊が結わえられています。それは、鶴がどこまで飛んでいくのか、いつまで長生きするのか、頼朝が確かめようとしたのではないかと言われています。

この鶴の動きには二通りあって、片面には、激しく飛ぶ鶴が、もう一方の面には、穏やかに飛ぶ鶴を描いたと言われます。ぜひ、見比べてみてください。 この天幕は、今までに4回修繕されたことが確認されていますが、修繕のたびに当初の素材や色目が変わってきたとされます。今回の修繕では、できる限り製作当時の天幕に近付けたいという思いが込められ、鶴が入っていた籠や鶴の色合いなどが、当時の色に戻されるようです。同じ鶴でも異なる微妙な色の違いをぜひ見ていただきたいところです。

見どころ・その2…新町の御船

写真:御船・明神丸御船・明神丸

掛塚まつりのハイライト、神輿の御渡りのとき、神輿の前を進む船(御座船、地元では、御船と呼ぶ)があります。「明神丸」というこの船は、新町の若衆が、宝暦11年(1761)に奉納したとされ、今も新町のみなさんが曳いて神輿の御渡りに加わります。

この御船が平成22年5月から修理(今回、「宝暦11年造作」の銘板が見つかりました。)されていましたが、修理が終わり、往年の輝きを取り戻して祭に戻ってきます。この御船は、神輿の御渡りのとき以外の祭期間中、貴船神社の拝殿手前左側に飾られていますのでご覧ください。

★ その他に市内で行なわれる主な祭典の日程をご紹介します ★
とき 祭典 場所
平成22年9月11日(土)・12日(日) 見付天神裸祭 見付地区
平成22年10月2日(土)・3日(日) 府八幡宮祭典 府八幡宮祭典
平成22年10月9日(土)・10日(日) 若宮八幡宮(郷社)祭典 豊田(豊田南)地区
平成22年10月9日(土)・10日(日) 六社神社祭典 福田地区
平成22年10月9日(土)・10日(日) 天白神社祭典 豊田(池田)地区

みんなに話したい「わたしの好きな文化財」(28)

双鶏之図金高蒔絵硯箱~二人の友情~

写真:双鶏之図金高蒔絵硯箱今回、山中が紹介する「双鶏之図金高蒔絵硯箱」は見付に居住した海軍中将・赤松則良の所有していたものです。赤松が磐田へ移住した当時に生涯を通しての友人・西周から贈られた品であり、形見でもあります。

今回は硯箱という文化財を通して見えてくる、赤松と西、二人の友情とつながりについてご紹介します。

赤松則良と西周

写真:赤松則良赤松則良(1841~1920)

赤松は天保12年(1841)の生まれで、幕臣として遣米使節団への随行や、オランダ留学などで功績を挙げ、明治維新の後は海軍の重鎮として活躍しました。晩年は市内の見付に居住し、磐田原台地の開墾などに精力的に取り組みました。

西は文政12年(1829)の生まれで、はじめは漢学を、後に江戸へ出て西洋の学問を学びました。その後、オランダ留学を経て将軍徳川慶喜の政治顧問を務め、維新後は陸軍の重鎮山縣有朋のもと、陸軍の軍政整備と確立に携わりました。法学者、哲学者としても有名で、「哲学」をはじめ、外国語の翻訳のため数多くの日本語を造語した人物としても知られます。

二人の友情

写真:西周 西周(1829~1897)

文久2年(1862)、二人は一緒にオランダへ留学し、ここで数年間をともに過ごし、二人の友情が始まりました。 日本人として初めてのヨーロッパ留学生のメンバーは、日本中から選りすぐられました。 年齢も比較的若い人物が選ばれたため、彼らはお互いすぐに打ち解けたようです。

生涯の友人

写真:留学生たち 留学生たち:前列右端が西、2番目が赤松

帰国後、明治時代に入っても二人の友情は変わりませんでした。徳川家の創設した沼津兵学校では同僚となり、その後も西が赤松の娘の仲人を務めたり、赤松の末息子が西家に養子に入ったりするなど、家族ぐるみの付き合いをしています。それはお互いに出世し、名を上げてからも変わることはありませんでした。

赤松と西、百年余り前の人物の友情を物語るこの硯箱は磐田市旧赤松家記念館にて展示中ですので、ぜひ御覧ください。

企画展こぼれ話かんしゃ・かんしゃにかしゃかんしゃ

恒例の夏季企画展も無事終了しました。今回は企画展のこぼれ話の一部を紹介します。

わたしは知っている…

写真:転覆の様子(ジオラマ)転覆の様子(ジオラマ)

昭和19年の東南海沖地震により転覆した貨物列車の車輪を紹介したところ、当時の状況を知る方々から話を聞くことができました。中でも地震の翌年から鉄道会社に務めたSさんの話は印象的でした。

Sさんは先輩たちから「鉄橋付近に貨車が1台埋まっている」と聞かされていたそうです。何でも転覆した車両の引き上げ作業中に、1両が沼の中に沈んだそうです。この話は「都市伝説」として職場に言い伝えられていましたが、65年を経てこれを裏付ける車輪が発見されたことになります。

模型の作者はケンイチさんだ!

鉄道が転覆した様子をジオラマに作成し、当時を知る人から「まさにこんな感じだった!!」との言葉をいただきました。このジオラマは市内在住のケンイチさんによるものです。ケンイチさんは様々な場で、図書館や文化財課の事業にご協力をいただき、企画展で困った時はケンイチさんに相談していました。今回の展示では趣味の域を超えた鉄道知識を駆使していただき、車輪のアドバイスや鉄道脱線ジオラマの作成までしていただきました。

最後の鍛冶職人 市川さん お疲れさま

写真:鍛冶仕事をする市川さん鍛冶仕事をする市川さん(平成21年撮影)

展示場の中央に平成21年まで鍛冶職人を続けていた市川さんの仕事場を復元しました。昭和2年生まれの市川さんは、既製品の普及により多くの鍛冶屋さんが廃業する中、最後まで地元の鍛冶としてトビや鍬・鋤などの農工具の生産と修理に携わりました。

今回の企画展では、市川さんから寄贈された鍛冶道具を展示するとともに、当時の様子や道具の使い方を教えていただきました。

企画展では多くの方からご指導やご教示を頂いています。 また、貨車の車輪や展示物を通じ、多くの方々と結びつくことができました。 改めて感謝いたします。ありがとうございました。

文化財課応援団・必見!! 公開講演「霊犬伝承をめぐって」

9月11日に説話・伝承学会による秋季地方大会が磐田市立中央図書館で行われます。この講演会は市民の方々へも一般公開されますのでご紹介します。

悉平太郎700年記念公開講演「霊犬伝承をめぐって」

「犬をめぐる民俗-人と犬の民俗学―」 文化庁調査官 菊池健策
「しっぺい太郎の仲間たち」 学習院女子大学教授 徳田和夫
「見付天神裸祭」 解説文化財課職員

日時:平成22年9月11日(土曜日)午後1時30分~午後4時30分
会場:磐田市中央図書館視聴覚ホール(磐田市見付3599-5)
主催:説話・伝承学会(保存伝承学会事務局0743-63-7179)
後援:磐田市教育委員会(文化財課0538-32-9699)

編集後記

先月、約1ヶ月間にわたり開催しました夏の企画展には暑い中多くの皆様にご来場を頂きありがとうございました。次回、2月には冬の企画展を開催致します。こちらも皆様のご来場を心よりお待ちしております。

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