2 地域における子どもの読書活動の推進

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ページ番号 1003034  更新日 2018年8月15日

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子どもの読書活動を推進するためには、身近なところに読書のできる環境を整備していくことが重要です。
公立図書館は、子どもが学校外で本と出会い、読書を楽しむことのできる場所であり、地域における子どもの読書活動推進の中核的な役割を果たすことが期待されています。
地域の読書活動推進団体・グループ、幼稚園、保育園、公民館、児童館、保健センターなども、子どもの読書活動の推進に関する理解や関心を広めると共に、子どもが読書に親しむ様々な機会を提供するなど、子どもの自主的な読書活動を推進する上で、大きな役割を果たしています。

公立図書館の整備・充実

1 図書館資料

ア 児童図書資料

現状と課題
  • 現在、市内の子ども0歳から15歳までの人口は26,402人です。*2005年9月末現在
  • 磐田市の図書館にあるそれらの年齢に向けた図書資料は市内5館合わせて219,518冊。(一人当たり8冊) *2005年9月末現在。
  • 図書館では読書活動を推進するにあたり、市内のすべての子どもたちが多くの良書と出会い、読書を楽しむことで個々の生活がより充実したものとなるように、子どものまわりに多くの児童図書が整備される環境づくりを目指していかなければなりません。このため、教育施設や地域施設への団体貸出の規模を拡大させることが必要となり、更なる児童図書の充実が望まれます。
施策の方向
  • (ア)児童図書資料を整備・充実
    2010年までに図書館の児童図書の蔵書の充実に努めます。
努力目標
  • 市内図書館の開架の児童図書の更新(購入)比率
    • 2005年:9.5%(平成16年度末現在)
    • 2010年:12.5%

イ ヤングアダルトサービス※3 の充実

現状と課題
  • 2005年4月から9月までの図書館資料年齢別貸出統計によると、市内の中学生の一人当たりの貸出冊数は3.1冊で、幼児6.8冊、小学生9.8冊に比べ大きく下回っています。
  • 小学生までは図書館に通い、読書を楽しむ子どもも、中学生になるとクラブ活動等学校生活が忙しくなり、図書館通いや読書への関心が薄れる傾向にあることが表れていると言えます。
  • 中学生の図書館利用が増加するよう、さまざまなサービスに取り組むと共に、感性の豊かな時期に中学生の心の成長を促し、教養を身につけ、未来への明るい希望を持たせるような幅広い分野での良質な図書資料を早急に充実させる必要があります。
施策の方向
  • (ア)中高生への図書館サービス
    中高生のための蔵書を揃えたヤングアダルトコーナーを市立図書館全館に設置します。中高生向けにおすすめの本を紹介したリストを作成し、配布します。中高生向けの図書館事業の開催に努めます。(講演会、展示会、講座等)市内の中学校に希望に応じ団体貸出を行います。
努力目標
  • 中学生の図書館利用率を上げる(一人当たり貸出冊数)
    • 2005年:3.1冊(2005年4月~9月の貸出冊数)
    • 2010年:4.0冊(2010年4月~9月)

ウ 多様な家族像を描いた児童図書資料

現状と課題
  • 働く母親が増えてきているのにも関わらず登場する母親の9割が「無職=専業主婦」など家族像を固定した絵本が多くなっています※4。積極的に育児に関わる父親や母子・父子家庭をとりあげるような多様な家族を描いた絵本を選定する必要があるのではないでしょうか。絵本に登場する家族の描かれ方に配慮する必要があります。
    ※3 ヤングアダルトサービス 中高生向きのサービスのこと。
    ※4 2005年7月27日付毎日新聞のNPO法人「SEAN」調査による。『絵本に見る家族と子ども~2000年以降出版の絵本調査から』(SEAN編集・発行2005年6月刊)
施策の方向
  • (ア)家族の描かれ方に配慮
    多様な家族像、幸せのあり方が描かれた児童図書資料を選書します。

2 図書館における子どもの読書環境の整備

現状と課題

  • 子どもが日常的に読書に親しむためには、子どもをとりまくあらゆる環境で本が整備・充実されていなければなりません。
  • 磐田市は平成17年4月の合併前からそれぞれの市町村で小中学校、地域の施設と連携し、ブックスタート、「茶の間ひととき読書運動」、小中学校への団体貸出など、さまざまな児童サービスを行ってきました。
  • 合併に伴い、それぞれの市町村が独自に行ってきた全ての児童サービスを市立図書館全館で実施出来るよう各館が協力し合い、市内全ての地域の子どもたちのために、充実した読書環境を整備する必要があります。
  • また、新たな児童サービスの可能性を探り、実施に努めなければなりません。

施策の方向

  • (ア)ブックスタートの普及
    現在行っているブックスタートを普及させるため、健康増進課と連携し、PR活動に努めます。
  • (イ)講座・行事の充実
    子どもが幼いうちから親子で本に親しめるように、子ども向けの講座・教室・行事等の充実を図り、図書館を訪れる機会を増やすよう努めます。
  • (ウ)団体貸出の充実
    市内の小中学校に希望に応じて団体貸出を行います。
  • (エ)障害児へのサービス
    障害のある子どもたちのために「点訳本」「布の絵本」「拡大写本」等の障害者向け図書資料を充実させ、利用促進を図ると共に養護学級や養護学校への団体貸出を行います。
  • (オ)本の紹介リストの作成
    子どもが自分の読みたい本を決めるときの手助けとなるように、各年齢に合わせたおすすめ本の紹介リストを作成し、配布します。学校の先生向けに読み聞かせに適した本を紹介するリストを作成し、配布します。
  • (カ)施設に出向くサービス
    子どもたちが本に親しむ機会を増やすために、幼稚園、保育園、小中学校と連携して司書がこれらの施設に出向き、おはなし会やブックトーク※5 を行います。図書館に通うことが困難な遠隔地に住む子どもたちを対象に司書が地域の公共施設や教育施設に定期的に出向き、おはなし会やブックトークを行います。
  • (キ)児童の特集コーナーの設置
    市立図書館全館に児童のための特集コーナーを設置し、幅広いジャンルの本の中からテーマを決めて紹介します。また、この特集コーナーで紹介した本を載せた子ども向けの図書館だよりを定期的に発行します。

※5 ブックトーク 読書の楽しさを紹介することなどを目的に、あるテーマにしたがって、さまざまな種類の本(5~10冊)を順序だてて紹介すること。

努力目標

  • ブックスタートの参加率
    • 2005年:62.2%(2005年4月~9月)
    • 2010年: 80.0%
  • 子ども向け講座・行事等の参加者数
    • 2005年:3,215人(2005年4月~9月)
    • 2010年:3,500人(2010年4月~9月)

3 専門的職員の養成・配置

現状と課題

  • 図書館には、児童サービスの担当者を配置していますが、兼務業務をこなしながら、サービスを行なっているのが現状です。
  • 司書の有資格者は、図書館職員のうち55.1%です。
  • 子どもの読書活動の推進にあたり、子どもの本を知り、子どもが好きで、子どもへのサービスの技術を身につけた、児童サービス専門の司書を計画的に養成する必要があります。

施策の方向

  • (ア)職員の充実
    児童サービスの充実にあたり、担当職員の増員・配置を図ります。また、司書がより高度な知識・技術を得られるように研修の機会を増やします。

4 在住外国人の子どもへの支援

現状と課題

  • 現在、磐田市では0歳~15歳までの子どものうち、5.07%が外国人です(平成17年9月末現在)。その内訳を見ると、ブラジル人が全体の約89.9%を占めていますが、ポルトガル語の資料を始め、外国語の資料が少ないのが現状です。
  • 帰国児童・生徒等へのサービスについても考える必要があります。
  • 外国人の利用者数が少ない、語学教育(日本語)の教材等が少ないという現状もあります。

施策の方向

  • (ア)在住外国人の利用促進
    外国語資料の充実・提供に努めます。また、利用案内等の外国語版を作成します。広報のポルトガル語版等を通じて図書館利用を呼びかけます。外国人の子ども用ブックリストを作成して(簡単な日本語の紹介本を含む)関係機関に配布します。ことばあそびカードや子ども用の語学教材(日本語)の資料の充実を図ります。

幼稚園・保育園・その他関係機関における読書活動推進機能・事業の充実

1 幼稚園・保育園における子どもの読書活動

ア 保育の中で行っていること

現状と課題
  • 毎日絵本の読み聞かせを降園前などに行っています。
  • 園文庫の絵本を園児に貸出日を設けて年齢に応じて冊数などを決め、貸し出しを行っています。保護者と一緒に借りたり保護者が借りたりする園もあります。
  • 保護者による読み聞かせを行ったり、保育参加や参観会に親子で読み聞かせの時間を設けている園もあります。
  • 小学生による読み聞かせを実施している園もあります。
  • 図書館に出かけ園児が絵本を借りている園もあります。家庭に持ち帰り親子で読んでもらっています。
  • PTAによる絵本と仲良しの会や地域の方のボランティアによる読み聞かせを行っている園もあります。
  • 園児に毎月個人もちの月刊絵本を購入して読み聞かせています。
  • 給食の時に放送でお話を流し、聞く機会にしている園もあります。
  • 教師が研修会に出かけ、良い絵本などを購入し保育の中に役立てています。
  • 絵本の部屋を開放(絵本の貸し出しを行う)しています。
  • 教師も読み聞かせの技術や年齢に応じた絵本を選ぶ知識などを身につけることも課題です。
  • 地域ボランティアを巻き込み、園活動にどう取り入れていくかが課題です。
  • 幼児が手にする絵本の充実を図っていくことも必要です。
施策の方向
  • (ア)幼稚園や保育園の図書コーナーの整備充実
    幼稚園や保育園の図書コーナーの整備や絵本等の充実を働きかけると共に、市立図書館の情報を提供し子どもたちが本に親しむ機会を増やします。
  • (イ)職員等の研修の充実
    職員等に対して読書活動に関する研修の充実を図ります。

イ 読書推進のための家庭啓発

現状と課題
  • 保護者への子ども読書活動の理解と関心の促進を図るため、園だより・学級だよりなどのたよりや懇談会・講演会等で、読み聞かせは親子の大切な触れ合いの手だてとして、その大切さを啓発しています。
  • PTA活動として、保護者による読み聞かせを実施し、啓発をしています。
  • 園児に月一冊ずつ絵本を購入し持ち帰ったら、家庭で親子で読むように依頼しています。
  • 図書館で借りてきた本を家庭に持ち帰り親子で読むように依頼しています。
  • 保護者の絵本に関する意識の差があり、忙しさのために読み聞かせをするゆとりがない親、読み聞かせへの関心が薄い親に対しての支援が必要であると考えられます。
  • 啓発をしてもなかなか効果が得られない現状がみられます。啓発の内容などを考える必要があります。
施策の方
  • (ア)啓発活動の推進
    保護者に対して読み聞かせの大切さ等読書啓発活動を促進します。このため、園だより・学級だよりなどのおたより、講演会等の開催により、読み聞かせの大切さや絵本の紹介などをして啓発していきます。

2 地域の公共施設における子どもの読書活動

現状と課題

  • 各施設とも読み聞かせを実施し、内容についても子どもの年齢や読み聞かせに適した絵本を選んだり、本に集中できる環境づくりをしたり、子どもが興味を持つように工夫した読み聞かせを行っていますが、保護者にも読み聞かせの大切さを伝えるにはどうしたらよいか、また家庭での読み聞かせの啓発方法等専門の知識を必要としている施設もあります。
  • 現在、公民館、児童館、児童クラブ、子育て支援センター等の図書コーナーでは、貸し出しや閲覧をおこなっていますが、内容や蔵書数はまちまちで汚れや痛みの激しいものも少なくありません。
  • 子どもの読書活動推進のため、「今月の本」のコーナーを作ったり、紙芝居を実施したりして、計画を立て取り組んでいる施設もありますが、施設により実施状況にばらつきがあるのが現状です。

施策の方向

  • (ア)図書館と地域の公共施設との連携について
    図書館では、市内の公民館、児童館、放課後児童クラブ、子育て支援センターに団体貸出を行います。図書館と地域の公共施設が、子どもの読書環境の整備・充実のために各施設に必要なサービスについて、また図書館がそれについてどのように関わっていくべきかを話し合うなど、連携を図っていきます。図書館が児童館や子育て支援センターと連携し、各施設の活動の中に親子で本を楽しむことの出来る事業(おはなし会など)の実施について支援します。また、読み聞かせをする側の資質の向上を図るため、研修の場を提供します。

3 地域活動団体への読書活動推進に関しての支援

現状と課題

  • 現在、磐田市では子ども文庫、読み聞かせボランティア等、子どものための地域団体が多数活動していますが、子どもが本に出会うための場所・機会を増やしていることからも、これらの団体は読書活動の推進に欠かすことの出来ない重要な存在と言えます。
  • 図書館はこれらの団体をさまざまな方面から支援していく必要があります。

施策の方向

  • (ア)広報活動の充実
    各地域の自治体により運営されている子ども会では、季節の行事、遠足、キャンプなどさまざまな活動が行われていますが、その中で、子どもへの絵本の読み聞かせを行ったり、季節の行事の由来を図書資料を使って紹介するなど、子どもと本とを結びつける活動を積極的に取り入れているところも少なくありません。図書館では、この活動を支援するために、読み聞かせに向く本の紹介や調べ物の手助けなど図書館が行っているサービスについて説明したビラまたはパンフレットを作成し、各地域の子ども会に配布します。地域での読み聞かせを支援するために市立図書館各館でボランティア養成講座を計画的に行います。

情報発信元

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