市長所信表明

このページの情報をXでポストできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号 1002833  更新日 2023年2月15日

印刷大きな文字で印刷

市長が4年間の任期を見通した政策の方向性について表明するものです。

映像配信

所信表明

(令和3年6月議会における1期目就任の所信表明)

令和3年6月14日

令和3年磐田市議会6月定例会にあたり所信表明の機会をいただき誠にありがとうございます。それでは、ただ今から、私の市政運営の基本的な考え方を申し上げ、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。

私の任期は、4月24日より始まり、4年間、1,460日の期間、市政を担わせていただくことになりました。選挙戦が一日だけであったため、私自身の政策や考えてきた課題を市民の皆様へ訴える時間が十分になかったことを課題と受け止めております。これから短期間で、できるだけ多くの市民の皆様に、想いを伝えていかなくてはなりません。ですからこの所信も少し長く説明させていただきますが、よろしくお願いいたします。

さて、昨年2月、新型コロナウイルス感染症が日本において確認がされてから、早(はや)1年5カ月が過ぎ去りました。この間、感染症が及ぼす影響は生命や健康にとどまらず、社会経済、人々の行動、意識や価値観など多岐にわたり、これまでの私たちの日常生活に大きな変化をもたらしています。

現在のところ、予断は許さないまでも、日々の陽性者数は以前と比べて落ち着いてきました。この間、あらゆる場面で感染予防の対策や自粛生活に取り組む市民の皆様、そして事業者の皆様、暮らしを支えるすべての方々のご理解とご協力をいただいていることに、深く感謝申し上げます。

また、現在はワクチン接種への取り組みを、何より市民が注目していると受け止めております。ここでは医師会、薬剤師会、そして看護師、磐田市立総合病院など、この感染症が確認されてから、第一線で治療や看護等に従事されている医療従事者のご協力なくして、前に進むことはできませんでした。市民を代表して感謝申し上げます。

いずれにしても、今後は、感染予防対策を継続しながら、ワクチン接種、そして収束後に向けた対応など、課題の一つ一つと向き合い、市政を前に進めるために、今、まさに踏ん張ってくれている職員と一丸となり、その先頭に立って市のリーダーとしての責任を果たしていきます。市民の皆様、議員の皆様のご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、市政運営に臨むにあたり、私がこれから乗り越えなくてはならない「4つの大きな変化とその対応」と「私の目指す市政についての5つの柱」について、順次、述べさせていただきます。

まずは、「4つの大きな変化とその対応」について、所見を述べさせていただきます。

1つ目は「人口減少・少子高齢化社会への対応」、2つ目は「デジタル社会への対応」、3つ目は「SDGsの考え方と自然環境への対応」、4つ目は「コロナ禍への対応」です。

まず、1つ目として「人口減少・少子高齢化社会への対応」があります。

平成17年の市町村合併後、15年が経過しました。この間20代の人口は約7,600人、30代の人口は約4,600人減少し、出生数も約360人減少しました。このままの状況が続くと、20代・30代の若者の数は、令和2年度は約35,000人でしたが、10年後には約27,000人にまで減り、それに伴い少子化も進行することになります。若者の減少・少子化は、社会を維持していくための大きな課題となることが、すでに予測されています。また、一方では高齢化により一人暮らし、高齢者世帯が増加しているデータもあります。

このような状況を踏まえると、一つは、若者世代を集めるため、子育て支援政策だけでなく、産業や雇用、魅力あるまちづくりを進め、その情報を若者たちに届け、人が集まるまちを作りたいこと、そして、二つ目は、人生100年時代になると同時に人口が減り、人口の世代バランスが変わっていく状況でも「安心できる磐田市」にしていくことを進めていきたいと考えています。

次に、2点目として「デジタル社会への対応」があります。

現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)やSociety5.0、そして、スーパーシティ構想など、次々と新しいデジタル技術を活用した社会のあり方が提案されています。10年先の市役所の姿は見通すことはできませんが、今と同じ仕事の仕組みで行っているとは到底思えません。市民サービスが向上するためであれば、積極的に民間と連携しながら、デジタル化を推進していきます。そのために、磐田市DX推進本部を設置し、DXについて部局横断的に取り組んでいきます。

次に、3点目として「SDGsの考え方と自然環境への対応」があります。

2015年の国連サミットでは、SDGs、「持続可能な開発目標」が示され、世界中でその取り組みが一斉に始まりました。私もSDGsの達成に向けた取り組みを推進するため、その一つとして脱炭素社会の実現に向けゼロカーボンシティを表明したいと考えています。

加えて、環境保全の取り組みにおいても、様々な分野でSDGsと関わりがあることから、身近なごみ拾いや緑地保全など誰にもできる活動も促していきます。さらに、桶ケ谷沼に代表される多くの自然を次の世代に引き継いでいきます。

また、東日本大震災から10年が経過し、津波に対する考え方やエネルギーに対する考え方にも変化が進んでいます。本市が取り組んできた防潮堤整備については、さらにスピードアップし沿岸部地域の安心感を高めていきたいと考えています。一方で、海岸の浸食が進み、毎年のように堤防が被害を受けています。天竜川からの砂の供給が減っていますので、国や県などの関連団体と連携し、保全に努めていきたいと考えています。

次に、4点目として「コロナ禍への対応」があります。

冒頭の挨拶では課題をお伝えしましたが、新型コロナウイルスの影響により新しい働き方や価値観が生まれるなど、未来に向けて可能性を感じさせる変化も起きていると認識しています。そのためワクチン接種の円滑な推進による出口戦略を描く一方で、ポストコロナを見据えた新たな可能性についても探っていきたいと思います。

以上4つの変化に柔軟に、しなやかに対応できる市民、職員、そして磐田市役所を目指したいと思っています。特に、若者たち、子どもたちと行政との対話、世代や性別を越えた多様な対話を進めていくため、対話の土台となる、情報の発信方法やファシリテーションの活用について検討していきます。

次に、「私の目指す市政についての5つの柱」について申し上げます。

1点目は、「子どもたちの安心~子どもたちをど真ん中に「安心できるいわた」~」です。

磐田市には、令和2年度生まれ1,093人から始まり、未就学児6,563人、小学生9,049人、中学生4,543人の子どもたちが暮らしています。まだ見ぬ未来に生まれる子どもたちを含め、私自身が子育て真最中であるからこそ、子どもたちが大人になるまで、責任をもって育つ環境をつくりあげなくてはならないと考えています。

まずは、不登校支援や外国人指導、発達支援、そして貧困対策など、今悩みを抱える子どもたちや親たちがより良く暮らせる磐田市の可能性を広げたいと考えています。例えば、適応指導教室や外国人児童生徒初期支援教室の充実、発達支援については、早期に発見し支援を開始できる体制を構築し、次の段階へ支援を引き継ぐ連携を強化するなど、誰一人取り残さない仕組みづくりを進めるとともに、孤立している子育て家庭を支えるため、産前産後ケアの充実、また私自身がイクボス宣言をするなど、働き方を率先して変えていくことで、パパたちの育児への参加等を進めていきたいと思います。

また、子どもたちには、磐田市の資源を生かしたスポーツ、文化活動への参加はもちろん、地域の歴史教育、GIGAスクールを活用した最先端の教育、さらに、これらに大人が関われる仕組みづくりや、新時代の新たな学校づくりの検証を進めながら、令和をしなやかに生きることができる、たくましい若者に育てていきたいと思います。

2点目は、「暮らしと健康の安心~歳を重ねても、障がいがあっても、病気になっても「安心できるいわた」~」です。

令和2年度、磐田市では1,093人が生まれ、1,673人がお亡くなりになりました。平均すれば、毎日3人ほど生まれ、4人以上が亡くなっていることになります。その一人一人の市民の命にも寄り添う気持ちを持ちたいと思います。日々の暮らしの中で病気にかからない市民はごく少数です。難病を背負って生まれてくる子どももいます。全ての世代が、そして身寄りがなくとも安心して医療や介護を受けられるように、これからの時代を見据えた医療提供体制を検討していくとともに、人生の選択、看取りの選択、亡くなった後の選択まで安心してイメージができるよう、市民と地域包括支援センターなどとの顔の見える関係づくりを進めることにより、地域包括ケアシステムの推進を図りたいと思います。

また、中東遠医療圏の基幹病院である磐田市立総合病院が、この先も地域の医療ニーズに応える活力ある病院として輝き続けられるよう、地域医療のインフラづくりを進めていきたいと思います。

また、障がい者に対する差別の解消を進める中で、障がい者の雇用を生み出し、自立も促進していきます。「互いに思いやりを持てる、誰一人取り残さない優しいまち」を目指していきます。

人生100年時代、確実に平均寿命、そして健康寿命は延びていきます。職場を退職するのが概ね65歳前後として、そこから100歳まで、ステージごとに生きがいと居場所を、趣味や地域を通じて作ることができる支援を考えていきます。また、交通弱者の悩みに耳を傾け、地域公共交通計画を策定する中でデマンド型タクシーを中心にして、より利用しやすい仕組みに変えていくことを検討したいと考えています。

3点目は、「まちづくりと防災への安心~将来まで暮らしが「安心できるいわた」~」です。

私たちが暮らす磐田市は、天竜川と太田川に育まれ、北には本宮山から見下ろす山間地と、田畑の緑豊かな磐田原台地があり、南には遠州灘を見渡す、163.45平方キロ、東西11.5km、南北27.1kmの地で、長い時間をかけて人の営みが行われてきました。その中で今、私たちが使っている公共施設は先人達が「これは」と思い、築いてくれた財産です。

公共施設のマネジメントは、建物の寿命が60年とも80年ともいわれている中で、現状の建物をどう利活用していくか、そして統廃合していくか、老朽化していく以上避けて通れない課題です。そして今、仮に建物を建てるとするならば、その建物は50年以上使う建物になる訳ですから、地域の皆さんたちと未来の魅力的なまちのイメージを共有しながら、将来負担が抑えられる施設整備、インフラ整備と維持管理に努めていきます。また、現在、検討を進めている旧市民文化会館・文化振興センター跡地をはじめ、旧豊田北部小、豊岡東小の跡地利用についても今後検討を進めていきます。

また、災害に強いまちづくりは、住民の生命と財産を守るために必要です。幸いなことに大きな災害がこれまで少ない磐田市ですが、東日本大震災をはじめとした大地震、台風やゲリラ豪雨による風水害は毎年、各地で起こっていますので、本市でも、災害が起こるという前提に立ち、毎年積み重ねている国土強靭化地域計画に則ったハード・ソフト両面からの防災、減災対策を進めていきます。本市は市町村広域災害ネットワークに加盟していますので、そうしたつながりの中で、他地域の災害時にも積極的に職員を派遣し、現場をサポートしながら学ぶ取り組みも考えていきます。

4点目は、「未来と仕事の安心~10年後へ向け価値を創造し「安心できるいわた」~」です。

産業の振興、発展は、持続可能な本市の未来に必要不可欠です。本市の製造品出荷額等は、平成30年は約1兆4,543億円、静岡県第4位となっていますが、ピーク時の平成18年には約2兆4,792億円あり、県内2位でした。輸送機器産業も構造転換が求められている今、磐田市も新しい産業の芽を育てていかなくてはいけません。

まずは、何といっても製造業、特に輸送機器産業の裾野が大きいですから、新しい技術に対応できるように研究できる機会や事業継承の機会を官民で創出していきたいと考えています。そして、「スタートアップ」いわゆる起業を応援する仕組みづくりにこれまで以上に力を入れていくほか、多くの情報を得るべく、小さくても首都圏に拠点を作ることも検討をしたいと思います。また、新東名スマートインターチェンジの開通後を睨み、新たな工業用地の検討を開始するとともに現東名と新東名をつなぐ道路整備、雇用に関する新型コロナウイルス感染症対策も、状況に応じて臨機応変に対応をします。

加えて、農林水産業の振興と発展です。地場農産物の振興を図るための農業版事業承継と地産外商の実施、遊休農地対策として大型農家育成と農地の集約化を支援するとともに、耕作放棄地にも目を向けるなど、様々な農業の課題を解決するため、農林環境専門職大学や企業・関係機関と連携した研究・検討も進めていきます。

さらには、未来へのキーワードとして、磐田市の強みである「スポーツ、産業、健康、食や自然」など今ある素材を生かし、静岡産業大学や企業と連携しながら、新たな産業を創造したいと考えています。

5点目は、「安心できる市役所づくり~市役所を「判断する場所」から「相談できる場所」へ~」です。

私は、今年度入庁した新規採用職員が40年後に定年を迎える頃には、公務員としての働き方や市民の考え方が、大きく変化しているものと確信しています。本市に限らず、行政サービスが今のまま続くとは考えられません。であるならば、今の行政サービスや仕事の進め方は、変化に対応できるような、柔軟性が求められます。

このようなことを踏まえれば、まずは変化に敏感な市民の声を聴くことが大切です。「なんでも相談できる場所」としての行政組織であることを市職員に浸透させ、市民にとって安心できる市役所にしていきたいと考えています。

そして、健全で持続可能な財政運営を図ることにより、未来にできるだけ課題や負担を残さず、将来まで安心できる基盤づくりに努めていきます。

また、既存の考えを常に見直すため、私のトップセールスをはじめ、副市長の2人制や国、県、民間、地域おこし協力隊など外部人材の登用、さらに公民連携のあり方などの研究も進めます。

市役所、支所と市民団体、自治会、地域づくり協議会等の協働による活性化は、これからも地域を維持するうえで、大きなテーマです。これまで、進めてきた(仮称)自治基本条例の制定は少し時間をかけて検討したいと考えています。

また、地域には伸ばしていきたい魅力ある文化や産業があります。統合・集約による効率化を求めることも大切ですが、地域の魅力と価値を高めることも大切だと思います。

こうした観点から、支所の見直しも含めて組織のあり方を考えていきたいと思っています。

以上、私の政策の5つの柱を述べさせていただきました。

結びになりますが、私の政治姿勢の根幹は、「対話」を通じて、未来を考えることです。これまでに多くの声が私のもとに届いており、一つ一つ丁寧に伺い誠実に受け止めてきました。

これからも基本的な政治姿勢として、「現場と対話を重視すること」に加え、「多様な意見とデータを大切にすること」「変化を楽しみ柔軟に対応すること」を掲げ、職員と共有し、行動していきたいと思います。

「私はこの世を、私が生まれたときよりもより良くして残したい」この言葉を残した青山士氏は、磐田市生まれの偉人です。パナマ運河の建設に、ただ一人の日本人として従事し、その後、日本の河川の治水に務めた明治時代の方です。私は、学生時代に習って以来、磐田市出身の氏の言葉を誇りに思い、大切にしてきました。

私は、今でもこうした「先人たちの生き方や道徳を学ぶ歴史」と「未来を見据えた先進事例や新しい技術」を学ぶことを大切にしています。私自身が、学びの中から、徳を積む自己研鑽に努め、コンプライアンス意識も高めていかなくてはなりません。また時代の変化を捉え、共に成長しあえる「学ぶ場」を創出し、市民と共に最新学習歴を大切にしていきたいと考えています。そして共に学んだ市民の皆さんからの声にしっかりと向き合い、「4つの大きな変化」に対応し、市民と共に令和に希望を持てる「安心できるまち、人が集まる磐田市」を目指していきます。

議員各位、並びに市民の皆様におかれましては、私の磐田に対する想いをお汲み取りいただき、今後の市政運営に格別のご理解、ご協力を重ねてお願いし、私の市長就任の所信表明といたします。よろしくお願いいたします。

情報発信元

企画部 秘書課
〒438-8650
静岡県磐田市国府台3-1 本庁舎3階
受付時間:午前8時30分~午後5時15分
電話:0538-37-4801
ファクス:0538-37-4829
企画部 秘書課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。