梨地槖吾山吹十種香箱

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磐田市では多くの美術品を所有しており、さまざまな公共施設で展示、保管しています。
今回は香りの博物館で開催されている『家康の遺香展』にて、6月25日まで期間限定で展示されている美術品について紹介します。

梨地槖吾山吹十種香箱

梨地槖吾山吹十種香箱(なしじつわやまぶきじっしゅこうばこ)

梨地槖吾山吹十種香箱

年代:江戸時代(中期)
品質形状:蒔絵・紫檀・象牙・和紙
大きさ:17.5x24.5xH18.0

<作品の紹介>

十種香箱は、十種の組香を行うのに必要な道具ー式を揃えたものです。
公家や武家、後には豪商の婚礼調度の代表的なもののひとつとして挙げられ、蒔絵を施した家紋入りの豪華なものが多くあります。
この作品は、徳川家の葵と毛利家の沢潟(水辺の植物)の紋が散らされていることから、両家の婚礼の際に誂えられたものであると考えられ、喜佐姫(二代目将軍秀忠の養女で毛利秀就婦人:龍昌院)所有のものとの伝承が残っています。

梨地の上にツワブキと山吹という植物が描かれ、周りには水の渦巻き模様がびっしりと描き込まれています。せっかくの梨地がほとんど見えないほどの豪華さですが、内側から金色に光り輝く重厚感があります。

箱書きには、「清水長兵衛」(蒔絵師か)とあります。

『香道具~典雅と精緻~』より
三段の合口造の箱に諸道具が組み込まれている。総体が金色で一部に銀蒔絵を交え、豪葦な出来映えで、毛利家旧蔵の大名婚礼調度の一つである。詰梨地に薄肉の高蒔絵で土坂に流水、花をつけたツワブキと山吹が描かれており、葵紋と沢潟紋が散らされている。内容品には、香畳・聞香炉一対・札筒・香札四種が納められる。香札は象牙の円形菊花形・紫檀の梵鐘形等で、時計の針のように中央の紐を廻転させて答える仕組である。六弁形の聞香炉の内部は金銅内貼が輝き、蓋の紐には赤い珊瑚が用いられている。二種類の家紋から、家康の孫娘にあたる越前(結城)秀康の娘龍昌院喜左姫が慶長13年(1608)に毛利元就の曽孫秀就に嫁入りした時の道具とする見解がある。しかし作風からはもう一世代遅れた時代の作と思われ、承応3年(1654)に嫁入りした秀就の息綱広夫人高寿院千姫(越前松平忠昌娘)の婚礼調度にふさわしい。溜塗外箱の底部に「清水長兵衛」の銘があり、経歴未詳の人物ながら作者銘と見られ貴重である。

 

香りの博物館では、さまざまな美術品を展示しています。
実際に匂いを嗅いで、香りを楽しむことができるものもあります。
ぜひ、香りの博物館に足を運んでみてください。

情報発信元

自治市民部 文化振興課
〒438-0831
静岡県磐田市上新屋678-1 市民文化会館内
受付時間:午前8時30分~午後5時15分
月曜休館(月曜日が祝日の場合は、翌日以降の平日が休館)
電話:0538-37-8550
ファクス:0538-37-5056
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